出会って、別れて
地上40階から見た夜の東京
自分たちの頭上でフットサルをする人がいることなど
想像だにしない人たちが横断歩道を行き交い、
信号が赤にかわるたびに四つ角に収束していく
東京タワーの光は、冷たくてあたたかい
東京の夜の空、建物、道路、あらゆるものにぴったりで、
ああ、ここが東京なんだと感じさせてくれる
40階下を急ぐ人間たちを見つめながら、
人の出会いってなんとも不思議なものだと思った
一人一人の生きてきた道が交わることは実に稀なことであり
その多くがまったく違う方向を向いて尾を引いていくか
線が触れるかとおもいきやスレスレのところで反れたりする
ああ、おしい!
横断歩道の上でからまりそうになる糸たちをぼーっと見ながら、
私は自分の人生の数箇所を呪うのだ
ほら!そこで2本の糸を結ばないと、するすると抜けてっちゃう!
………
そんなことを思いながら
真夜中に吸いこむ、キールの赤い蒸気
蒸気の向こうには、今日も逃した、糸のはしっこ